土地・建物活用

土地活用といえども様々な活用方法がありますし、その目的や土地の形状、予算などによりプランも大きく異なります。また、場合によっては、何もしないことが最適なこともあります。相続、収益性、税金など皆様のお悩みに寄り添って、最適なプランを一緒に考えてまいります。

こちらでは一般的な土地活用方法を一覧で紹介いたします。

居住用賃貸

    

1-1.アパート経営
1室にかける建築費を抑え、部屋数で勝負するタイプの賃貸経営です。地域のニーズを捉え、需要の多い広さの部屋を用意するのが集客のポイントになります。部屋数の多さは空室リスクの分散に繋がり、一般に家賃は部屋の広さに比例しないことから、ワンルームで集客できれば効率が良いメリットを持っています。逆に、部屋数が多いことで、入居者トラブルが起こりやすいデメリットを持っています。木造を前提とすると、費用面では付帯工事や諸経費込みで坪単価50万円程度です。部屋40㎡なら600万円程度かかるので、5万円の家賃で年間60万円ですから、利回りは10%になりますが、土地があるならもう少し高い利回りが求められるでしょう。

1-2.マンション経営
基本的には、鉄骨造やコンクリート造で作られるため、耐久性が高い物件です。したがって建築費は増えますが、建物の耐久性から担保価値も高く、大きな資金での長期的な運用を可能にするメリットがあります。その分、ハイリスクハイリターン型の運用になり、経営に行き詰まると大変です。

1-3.戸建賃貸経営
家族連れを対象とするため、長期的な賃貸契約を見込めるメリットがあります。デメリットは、入居者がいなければ収入が断たれてしまう点で、入れ替わりが激しくなりにくい物件だとはいえ、空室期間はリスクだけの物件になってしまいます。しかし、戸建賃貸では自宅用途にもできる柔軟さがあり、逆に考えると空き家になった自宅を、そのまま借家として流通させられるのは、集合住宅にはない利点です。借家の契約方法には、普通借家契約と定期借家契約があって契約時は要注意です。1戸にかけるコストとしては最も高いですが、家賃も高く設定できるため極端に利回りは低下しません。

1-4.賃貸併用住宅
自宅でありながら、賃貸物件を併せ持つ賃貸併用住宅のメリットは、何と言っても住宅ローンが使えるために低い金利で資金調達できることです。住宅ローンを家賃収入で補えるため、自宅部分に対する負担も軽減されます。ただし、入居者と同じ建物に住むので、生活音や会ったときの挨拶など、少なからず入居者との関係性を保つ必要がある点は覚悟しましょう。モラルの低い入居者では、自分も直接の被害者になるデメリットがあります。費用面では、3階建て以上なら鉄骨造やコンクリート造が通常で、マンションと同様に建築費がかさみ、住宅ローンを使える条件は自宅部分が半分以上と決まっています。つまり、住宅ローンを使うと多くの賃貸収入は望めず、利回りは低めですが、賃貸部分を広げてアパートローンなどを利用すると、今度は賃貸併用のメリットが薄くなります。

1-5.サービス付き高齢者住宅経営
集合住宅にデイサービスや介護サービスを付けた複合的な住宅で、いわゆる老人ホームと違い、健常な高齢者の入居も可能にします。大きな補助金と、少子高齢化による安定需要が見込めるメリットを持っています。その反面、投資が大きくサービス施設を付帯するため、賃貸部分からの収入比率が低いこと、介護等のサービス事業者と提携しなくてはならないデメリットを持ち、サービス事業者の質が経営を左右し、予測が付きにくい側面もあります。また、小規模ではサービス施設にかける費用の比率が大きくなって効率が悪く、15戸~20戸程度の規模は必要で、建築費は億を超えていくのが普通です。したがって、個人が行う事業としてはハードルが高く、一括借り上げで運用益だけ得るか、土地を事業用用地で貸す形態が多くなるでしょう。

1-6.グループホーム賃貸経営 東京都推奨
1ユニット(9名)以上の認知症高齢者住宅とグループホームを運営する事業者に貸す賃貸経営です。大きな補助金と、少子高齢化による安定需要が見込めるメリットを持っています。随時グループホームに関する説明会・見学会を行っており、東京都のグループホーム整備目標を10年後、現在の2倍の予定にしております。
                                         戻る

事業用賃貸経営

     

建物を用意し、店舗や事務所、介護施設などのテナントとして貸し出す方法で、収益性に優れています。ただ、事務所はともかく、店舗を運営するには、商業地かその近隣のほうが都合は良く、事業用賃貸を選択できる立地は限られてきます。宅地の静かな雰囲気を好む事業者(特に飲食店)も一定数ありますが、テナントが埋まらないリスクが高くて、なかなか手を出せません。住宅のように多くの設備を使用せず、借主の好みで内装が決まり、業種で導入する設備が決まる性質から、事業用物件は「箱」として貸し出すのが一般的です。そうすると、住宅部分に比べて低コストで済み、かつ賃料が高い優良物件です。ところが、万人が必要とする住宅と違い、事業用物件の需要は限られており、どのような事業者もマーケティングにより出店を決めます。誰も借りてくれない「箱」なら作らないほうが良く、貸す側にもマーケティング能力が求められるでしょう。
                                         戻る

その他経営

    

土地の活用方法は多種多様で、賃貸物件を建てずに土地として貸す、または設備等を導入して運営する方法もあります。ここでは、土地を使って自分で経営していくことを前提に説明していきます。

3-1.駐車場経営
初期資金が小さい月極駐車場と、設備が必要なコインパーキングに分かれます。コインパーキングでもそれほど大きな資金を必要とせず、専門業者による借り上げでの運用も可能です。土地の活用では一般的で、少ない投資のメリットと少ない利益のデメリットを併せ持つ、ローリスクローリターンの方法です。ただし、駐車場の需要は必要ですから、住宅地か商業地を前提とします。車が置ければ成り立つので、狭い土地でも可能ですが、車路が不可欠な特性上、あまり狭い土地では車路の割合が大きくなりすぎて効率が低下します。

3-2.トランクルーム/貸し倉庫
レンタルスペースとして収納場所を提供するビジネスをトランクルームと呼びます。従来からある貸し倉庫を、もっと小規模にして個人向けにしたイメージです。収納用のコンテナや建物内に、個人向けの収納スペースを提供し、セキュリティやプライバシーに配慮して物を預かるタイプと、コインロッカーのように使用者の自由で使わせるタイプがあり、後者は違法に使われるリスクを伴います。利用者さえ集まれば、低コストなので高利回りも期待できますが、収納場所へのニーズは住宅事情が手狭な都市部に多いため、田舎で始める際は、団地・マンションの近くで顧客を狙い撃ちするような工夫も必要です。なお、物の収納を目的とする顧客を対象とする特性から、土地の形状は大きく問われず、狭くても不整形でも可能な柔軟性を持っています。

3-3.太陽光発電での売電
ビジネスモデルとしての収益性の高さで、個人から大手企業まで参入した分野です。太陽光発電で生み出した電力を、電力会社が一定期間・一定価格で買い取る固定価格買取制度の存在が、収益を支えています。制度開始直後よりも、大幅に設備コストが減少したため、買取価格は下落しましたが、収益率は概ね10%程度で変わらない配慮がされています。ただし、今後も同じ制度が続くとは限らない点は注意が必要です。高層マンションなどの無い、田舎などが有利になる珍しい土地活用方法です。

3-4.他の活用事例
自動販売機、コインロッカー、バイク用駐車場/駐輪場、貸し農園、資材置き場など、管理に手間が不要な方法や、特定の需要をターゲットにした方法もあります。これらの方法は、ビジネスとして成立する環境が限定的で、一般的とは言えませんが、逆に考えると競争相手が少なく、チャンスがあるかもしれません。
                                         戻る

借地

       

土地をそのまま他人に貸して、地代を得るのが借地による活用方法です。借主の目的としては、個人なら居住用の住宅、賃貸用の住宅、駐車場、太陽光発電など、法人なら賃貸用の住宅、太陽光発電、店舗、事務所、工場などです。

基本的には、借主が自由に土地を使うことを前提としますが、借主がどのように土地を使うかで、契約や権利関係が変わります。それは土地がないと建物が使えない事情に基づいており、借主が建物を建てた後に、地主が「土地を使わせない」と言ったら、建物も使えなくなってしまうからです。

そこで、建物の所有を目的として土地を貸借するときは、建物を所有する借主に、「借地権」という権利が発生します。借地権は強い権利で、原則的には借主を保護する目的で作られています。 

その借地権には、普通借地権と定期借地権があって、両者の特徴はまったく異なります。普通借地権では、借主が更新を希望すると、地主は正当な理由がなければ更新を拒めず、定期借地権には更新がありません。また、定期借地権は3つに分かれ、それぞれも特徴が異なります。

   普通借地権  定期借地権    
   一般定期借地権  事業用定期借地権  建物譲渡特約付借地権  
 期間  30年以上  50年以上  10年~50年未満30年以上  
 更新  あり  なし  なし  なし
 目的  制限なし  制限なし  事業用(居住以外)  制限なし
 返却  定めなし  更地  更地  建物買取

土地を貸す対象が、住宅目的なら普通借地権か一般定期借地権による契約、住宅以外の事業用建物(店舗など)が目的なら、加えて事業用定期借地権による契約も使えます。建物譲渡特約付借地権は、借主の建物を地主が買い取るので一般的ではありません。       

事業用定期借地権以外は、30年以上と期間が長いため、相続等も関係してきます。貸している間は土地を自由にできなくなるデメリットから、売却のタイミングを狙っていたり、使う予定があったりする土地には向いていません。

逆に借地での土地活用は、地主が何も出資しなくてよい大きなメリットを持っています。

土地の整備が必要な場合は、借主が整備費を負担して地代から差し引くパターンと、地主が整備費を負担して地代に上乗せするケースに分かれます。いずれにしても初期コストが無いに等しいため、一般に地代収入は大きな利回りを産みませんが、契約期間中は確実に固定資産税を上回る収益があります。
                                          戻る

自己使用

       

5-1.自宅
相続等で手に入れた土地に、移住する選択肢も土地活用に含まれます。この場合、現在の自宅が貸したり売ったりできる環境にあれば、対象を入れ替えるだけで有効活用が可能になるメリットがあります。

5-2.二次的住宅(別荘)
普段は住まない住宅を持つことで、固定資産税の負担があるデメリットもありますが、二次的住宅として保有しておく方法もあります。
                                          戻る

売却

 

不動産は流動性の低い資産で、売買には早くて数ヶ月の時間を要しますし、相手がいなければ何十年待っても売れることはありません。そう考えると、資産でありながら資産価値をなかなか体感できないのは確かです。売却によって現金に換えることは、固定資産から流動資産への変換でもあり、資産運用を容易にするメリットを持っています。しかし、売却益があれば譲渡所得税を支払い、売却益に関係なく不動産会社への仲介手数料等も発生するため、資産としては目減りするのを避けられません。
                                          戻る

まとめ

従前は、アパートマンションを建てれば、どの物件もある程度うまくいっていましたが、近年では時代も変わり必ずしもそうではありません。人口の減少、家賃の下落、地域による格差など、原因は様々ですが今までの常識が通用しなくなってきているのが現実です。この様な状況の中、本当に有効な活用の方法とは何か? 答えを見つけるのは容易ではありません。今までよりも幅広く且つ専門的な検討が必要です。こんな時代だからこそ、単一商品に偏らず幅広い見地から活用の方法を見つけ出していく必要があるのです。                                                                           戻る