相続手続き
- 相続が発生した場合の財産手続きを
相続が発生した場合には様々な手続・段取りを経て財産を承継することになります。以下に基本的な手続きの概要を記載しております。
- 相続人の確定
戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍等を取得し、相続人を確定します。
- 保険金請求
生命保険などの契約がある場合には保険金の支払請求を行います。
- 遺言書の有無の確認
親族へ聞き取りや公証役場で遺言書の有無を確認します。遺言書がある場合には、基本的には遺言書の内容に基づいて財産が承継されます。
- 財産目録の作成
遺産内容の調査を行い、財産目録を作成します。
- 準確定申告
亡くなった方が確定申告の対象となる自営業者などで、所得があった場合に行います。相続開始から4か月以内に準確定申告を行います。
- 遺産分割協議
相続人全員で遺産分割協議を行い、その内容に基づいた遺産分割協議書を作成します。
- 財産の名義変更・換価・分配
遺産分割協議書に基づき、各財産の名義変更・換価・分配を行います。
例)不動産:法務局へ相続登記申請 預貯金:金融機関へ換価/名義変更申請 株 式:証券会社等へ換価/名義変更申請
- 相続税の申告・納税
相続税が発生する場合には相続開始から10か月以内に申告します。
- まとめ
以上が相続手続きの概要ですが、税理士・司法書士等の専門家の関与がなければ相当な労力と手間がかかってしまうこともあり、時間と費用との兼ね合いを検討する必要があるでしょう。そして、遺産分割協議については相続人の間で協議がまとまらず長期化したり、場合によっては放置せざるを得なくなることや、裁判所を利用しなければならなくなってしまうこともあります。相続人としては、「遺言書を残してくれていたら良かったのに」、「生前に贈与してくれていたら良かったのに」と痛感するケースもあるでしょう。そこで、以下では生前にできる財産の処分方法について記載いたします。
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遺言書作成
- 財産承継を実行するため、自分亡き後の遺産争続の予防手段として遺言書作成。
- 遺言書の種類
代表的な遺言書としては以下のものがあります。
- 自筆証書遺言
文字どおり自ら筆を手にとり全文を書きます。
メリット :費用がかからない デメリット:不適式な遺言書になっていた場合には無効となってしまうことも。紛失、汚損、改ざんの可能性
- 公正証書遺言
公証役場にて作成します。
メリット :公証人のチェックが入るので無効となることはほぼ無い。原本が公証役場に保存されるので、紛失等のリスクが無い。 デメリット:費用がかかる
- 遺言書作成の効果
遺言書は、遺留分に反しなければ遺言を残した人の想いどおりに財産を承継させることができます。
- 遺留分とは?
相続人に法律で最低限保証された相続分のことです。
なお、遺留分に反する遺言書でも、その遺留分を侵害された相続人が権利を自ら主張しない限り法律上有効なものとして扱われます。さらに、一定期間を経過すれば時効により遺留分を主張することができなくなります。また、兄弟相続の場合、兄弟姉妹に遺留分はありませんので想いどおりの遺言書を作成し実現することができます。
- まとめ
これらのことから、①思い描いている財産承継を実行するため、②自分亡き後の遺産争続の予防手段として遺言書作成は有益と考えられます。
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生前贈与
様々な事情により特定の方財産を渡しておきたい場合は生前贈与。
- 不動産生前贈与
実際に家に住んでいる子に承継させたい場合が典型例です。相続時精算課税という制度を利用することで、贈与税の負担をしなくてもよい又は負担が軽減されることもあります。
- 暦年贈与
毎年110万円以下の贈与であれば基礎控除により非課税となります。預貯金が多い場合によく利用されています。また、110万円を超える贈与であっても、相続税の税率より贈与税の税率が低い場合には、あえて生前贈与を毎年行うケースもあります。
- まとめ
贈与税・相続税に関しては複雑な諸制度の兼ね合いがあるため、資産税に強い専門家の関与なく行うことは避けた方が良いと思われます。そのうえで、最も適切な方法を選択することを推奨いたします。
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家族信託・民事信託
- 家族信託・民事信託とは
従来は、厳格な信託業の免許を取得した信託銀行等に財産を信託する必要がありましたが、平成18年の信託法改正により、営利を目的としていなければ、一般人にも財産を信託することができるようになりました。・信託銀行を中心とした営利目的の信託を「商事信託」 ・営利を目的としない信託を「民事信託」と呼びます。この「民事信託」の中でも、財産を家族に託すものについては、「家族信託」と呼ばれています。
- 家族信託とは
家族信託を簡単に表現するなら、「信頼する家族に財産を託し、託された者がその財産を承継・管理する契約」といえます。近年では、認知症等により判断能力が低下した場合の財産管理対策や、遺言書の代用として積極的に利用されるようになってきました。
- 家族信託・民事信託により実現できること
近年、家族信託が注目され一般に普及してきている要因の1つには、従来の相続対策ではできなかったことが実現できるようになったことにあるといえます。例えば、以下のケースです。
- 認知症対策としての「家族信託」
認知症等により判断能力が低下した場合には、成年後見や任意後見の制度を利用しなければならず、後見人が就任した後にあっては、財産は本人の利益になることにしか原則として利用できません。その結果、財産の運用、投資や贈与、各種の相続税対策などは行えません。これは、投資は財産が減少するリスクがあり、贈与は財産を減少させる行為であり、相続税対策は相続人の利益であって本人の利益ではないからです。しかし、判断能力がある間に家族信託を実行していれば、その後に判断能力が衰え後見制度を利用した後でも、家族信託契約の内容に基づいた財産の管理・運用が行えます。
- 次の代以降の相続の指定のための「家族信託」
遺言書では、次の代以降の相続の指定することができませんが、「家族信託」を利用すれば次の代以降の相続の指定と同様のことが可能になります。
- その他
・経営している会社の株式の承継 ・相続による不動産の共有問題 ・障がいを持つ子のための財産保護 これらの問題を解決のために利用することができます。
- まとめ
このように、家族信託を利用すれば、従来は実現できなかったようなことが実現できるようになります。まだ取り扱っている専門家も多くないため相談先にも困っている方が多いのが現状です。
相続のお話になると、節税ばかりが注目されがちですが確かに節税できるに越したことはありませんが、誤った節税を行って相続後に困った状況になってしまう事も少なくありません。テクニックとしての相続対策は世の中にたくさんありますが、テクニックは目的を果すための手段でしかありません。本当にどのようにするべきなのかは、実はそのご家族によって千差万別なのです。ご家族に最適な相続を迎えていただくために俯瞰した目線で且つ総合的な観点から対策を講じていく必要があるのです。その為の大事な一歩が、パートナー(専門家集団)選びなのです。
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